ぶきよう看護師のクレーム対応方法と落ち込んだときの対策

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complaint handling 看護師の対策

看護師にとってできれば当たりたくないこと・・・

それは、クレーム対応。

かげどん
かげどん

クレームは突然起こるのです。

みなさんも一度はクレーム対応の場面を経験したことがあるのではないでしょうか。

対応に当たると緊張したり、仕事に響いたり、落ちこんだり・・・

クレーム対応は、初期対応が要です。

私はぶきような看護師歴20年越え、元主任看護師のかげどんです。

看護師スタッフ時代だけでなく、主任看護師時代のクレーム対応の経験もあります。

今回は、初期対応の仕方、間違ったクレーム対応をして拗らせてしまわないようにするにはどうしたらいいかを私の経験からお伝えしていきます。

このブログでのぶきようさんとは・・・人より時間がかかってしまったり、他人を優先してしまったり。よく失敗するくせになんでも全力でやって気づけばいつもへとへと。そんなマジメで一生懸命なひとのこと。

クレームとは・・・

① 売買契約で、違約があった場合、売手に損害賠償を請求すること。

②異議。苦情。文句。「-をつける」

広辞苑より

一般的には、異議や苦情といったところでしょう。

ところで、クレームを発した時のひとの心理はどんな状態なのでしょうか?

クレームが起こる時の心理

クレーム(怒り)は二次感情といわれています。

つまり、そこに至る前に一時感情が別にあるということなのです。

例えば、『個室を希望していたのに重症の患者さんが使用していたため、二人部屋になった』

とか、『採血を一回で採ってほしかったのに失敗された』

など。

失望、嫌悪、不安、恐怖、悲しみなどの一時感情が必ず存在します。

普段は気にならないことも、病気やケガをしていて思うようにならずストレスが溜まってクレームが発生した、ということも十分あり得ます。

クレーム(怒り)の前には必ず隠れた感情が存在するということを覚えておいてください。

※上記は一般的なクレームと言えますが、理不尽なカスハラ(カスタマーハラスメント)は、上記よりも、『自分が得をしたい』『意見を言えば思い通りになる』といった心理や、そもそもご病気でクレーム気質になっていることもあります。また、愚痴を言いたいだけだったり、かまってほしいだけだったりするひともいます。

apologize

明らかにスタッフや、病院側のミスの場合はとにかくすぐに謝罪をしましょう。

起こった事実に謝罪を行うことです。

クレームを言われると、自分のことばかりに気持ちがいってしまいますが、

クレームを発したひとの身になって接しましょう。

クレーム発生時は謝罪と迅速な対応が大切です。

状況的にスタッフが必要なら、すぐに応援を呼びましょう。

口先だけの謝罪や『すみません』とやや砕けた謝罪ではなく、

『申し訳ございません』

と、きちんとこころからお詫びをすることが大切です。

『だれが』『いつ』『どこで』『なぜ』『なにを』『どのように』『どれくらい』を把握します。

上の者を呼ぶように言われたら、『上のものに対応を変わらせていただきます』と伝え、すぐに上司に報告、5W2Hを伝え、対応してもらいます。(例えばクレーム対応に慣れているスタッフや上司、リスクマネージャー等)

そのうえで、クレームの理由をしっかりと確認することです。

確認に時間がかかる時には、『ただ今確認をしております、もうしばらくおまちいただけますか』等、状況をお伝えし、不安にさせないようにしましょう。

クレームのご意見が続くようなら、場所を変えてじっくり対応します。

場所を変えるだけで、相手の気持ちが落ち着いてくることもあります。

クレーム対応中はしっかりと相手の話を聴き、話をさえぎったり、すぐに終わらせようとしたりしないことです。

すぐに話を終わらせようとすると、相手にはすぐにわかってしまいます。

そのせいで、不信感を抱かせたり、クレームが拗れることにもつながりますので気を付けましょう。

クレームを受けるスタッフが急に変わったりすると、対応に温度差を感じることが起こるかもしれません。スタッフを変えるときは、きちんと変わることを説明しましょう。

そして、一貫して真摯な(真面目、誠意がある)対応をすることです。

批判をしない、逆ギレをしない

クレームを言われると、批判がちに話を聴いてしまいたくなるかもしれません。

『それは違います』

『そんなことはありません』

クレーム対応時に絶対に批判はしてはいけません。

逆ギレなんてもってのほかです。

イラっとすることを言われても、そこはぐっと堪えてください。

言い返したら、クレーム対応が台無しになります。

さて、どうすれば、納得してもらえるのでしょうか。

もちろん、できることと、できないことがありますがその範囲内で最大限できることを提示します。

経験上、解決案を提示しても、納得されない方は本当にごく一部です。

責任転嫁したり、こちらの意見ばかり伝えるようでは納得しないでしょう。

きちんとお話を聴いて、寄り添う姿勢をみせれば、大抵納得されます。

それでも納得できない場合は、可能な範囲で、相手にとって一番最良な方法をとることです。

クレームの最後には、『ご指摘くださり、どうもありがとうございます』という感謝の言葉を伝えられれば完璧です。

クレームは、良い意味で改善を期待されていると言えます。

その改善を期待してくれたことに感謝を述べることはとても大切なことなのです。

一般的なクレーム対応とは違う対応が求められます。

謝るのは、『嫌な思いをさせてしまった』ということだけにします。

また、迅速に上司やリスクマネージャー等に対応を依頼しましょう。

ある時、クレームを言ってきた方に、謝罪すれば謝罪するほど怒りをつのらせるということがありました。そして、土下座を要求してきました。これは明らかにクレームがモンスター化、カスハラとなっています。

こういったカスハラには、とにかく特別扱いせず『平等』に接することに徹します。

どんなにクレーム対応に慣れたスタッフでも、大変消耗します。

それどころか、時間が無駄に奪われ、業務が円滑にまわらなくなったり、他の患者さんに影響がいったりと様々な弊害が起こります。

普段から、患者さん、ご家族と対等な関係を築き、理不尽な要求にはスタッフを守るという姿勢、カスハラには毅然とした態度を貫くことが重要です。

カスハラ対応マニュアルをスタッフ間で共有し、いざという時に備えましょう。

また、いざという時、部署やスタッフ間での協力は必須です。

日ごろから、関係を円滑にし、協力体制を整えておくことです。

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むしろ、クレームがない病院、施設のほうが怖いです。

毎日たくさんのひとが病気になったり、思いがけずケガをしたり、そういった不安いっぱいの患者さんやご家族がいらっしゃる。

毎日大変慌ただしい業務。ケアする人間の気持ちもいつも安定しているとは限りません。

来る日も来る日も、いつも命と向き合っている私たちの仕事。

感情が揺さぶられずに過ごしているひとなんているでしょうか。

そこで、気持ちのすれ違いや、ミスが起こってしまうことは容易に想像がつきます。

クレームは自分自身の成長、組織改善のときです

organization improvement

ですから、クレームが起こらないわけがないのです。

決してクレームを容認しているわけではありません。

クレームを生み出している土壌、要素を私たち医療従事者はよく理解していく必要があります。

そしてクレームが起こったときにどう対応し、どのように活かしていくのか、が大切なのです。

クレームをむやみに恐れないことが大切です。

どこの施設でもクレームが発生したら、それを受け入れ、改善を行っていると思います。

そしてそれは、個人だけではなく、部署や施設全体の改革にも必ず繋がっているはずです。

今後のためにインシデントレポートを書きましょう

クレームなど起こるたびにインシデントレポートを書くのは、傷口に塩を擦りつけるようなつらい作業ですね。

同じことを繰り返さないためにも、この作業は大切なこと。

スタッフの誰かが経験した貴重な事例は、一緒に働くスタッフと情報共有するための大切なツールです。

スタッフをむやみに責めない

インシデントレポートはクレームを責めるためのものではありません。

同様に、犯人捜しをするものでもありません。

もちろん、態度や行動に誤りがあれば、次には改善する必要がありますよね。

でもクレームが起きたからといって、必要以上にそのスタッフを責めることはやめましょう。

責めるより、一緒に改善していく、一緒に成長していくという気持ちで接していくことが大切です。

ミスをして患者さんやご家族にご迷惑をかけてしまった。もう看護師をやっていく自信がなくなった、一緒に働くスタッフに迷惑をかけていっそのこともう辞めてしまおうか・・・と思うことがあるかもしれません。

クレームはこころもからだもあたまも大変消耗します。

そして、たくさんきずついています。

ですが、自信をなくしたり、まして退職を考えるなんてもってのほか。

今できる、きずついた自分を守る対策をお伝えします。

1.信頼できるひとに聴いてもらう

落ち込んだら、ちゃんと話を聴いてくれるひとに話しましょう。

あなたにとって、信頼できるひとは誰ですか?

上司、先輩、友人、同僚、家族・・・自分自身にとって、安心して話を聴いてくれるひとに聴いてもらうこと。

話をしっかり聴いてもらうだけでスッキリするひとも多いのではないでしょうか。

自分の傷ついた気持ちを受け止めてもらうことは、自分自身にとって一番の癒しになるでしょう。

2.紙に書く

話すのが苦手なら、紙に書いて、眺めて、やぶって破棄する。

私は落ち込んだり、もやもやしたりするとき、よくこの方法をとります。

紙に書くことで、なぜ自分は落ち込んでいるのかがよくわかります。

あんまりずっと眺めると思い出して疲れるので、ほどほどに。

(紙は人目に触れないようしっかり処分しましょう)

3、趣味など好きなことをする

好きなことをして自分を労わることです。

落ち込んだときにからだを動かすことは、てっとりばやく余計なことを考えずに済むのでおススメです。運動後は気分もスッキリしていることでしょう。

カラオケや音楽・映画鑑賞、スーパー銭湯、料理ハンドメイドやイラストのような創作活動、ゲーム、プラモデル、家族との団らん、ペットと遊ぶ・・・なんでもいいのです。

自分が楽しめる趣味なら、たとえ少しの時間でもきずついたこころを癒します。

ただし、没頭しすぎて疲れないようにしてください。

お酒やおいしいお食事もいいのですが、くれぐれも暴飲暴食は避けましょう。

落ち込むとき、自分自身を労わるために、普段からこころから楽しめる趣味をもつことをおススメします。

4、睡眠をとる

やはり一番は睡眠です。

こんな時には、なかなか寝付けない、というひとも多いのではないでしょうか。

そんなときは・・・

①良い睡眠のために、38度くらいのぬるめのお風呂に15分ほど入り、副交感神経を優位にさせましょう。

②明かりを暗めにする。

③お気に入りのアロマオイルを使う。お風呂に入れても。

③好きな歌を聴いたり、鼻歌を歌ったりしてリラックス。疲れるので熱唱はしないように。

④軽いストレッチ(横になって背伸びや手足をブラブラさせる等)をする。

⑤温かいノンカフェインの飲み物(ハーブティー、ココア、ホットミルク)を飲む。

⑥深呼吸をゆっくり行う。

深呼吸は『吐いてから吸う』と副交感神経の働きが高まりやすくなります。

疲れているときは、テレビ、スマホやパソコンを眺めるのは極力避けましょう

また、深酒や食べ過ぎも体に負担がかかり過ぎるので禁物です

どうしても眠れないときは、一度寝床から離れ、明かりは最小限にします。単純作業をすると眠りやすくなるので、目を閉じて足浴をしたり、爪の手入れをしたり、マッサージをしたりなるべく頭を使わずに過ごしてみましょう。

5、落ち込んだときは自分最優先

落ち込んだときは、自分をきずつけることではなく、自分を労わることを最優先しましょう。

いつもひとを優先している看護師のみなさん、

落ち込んだときは自分を一番に考えましょう。

そうしているうちに、きずついたこころもからだもあたまもいつか癒されます。

看護師はだれしも痛いクレームを受けた経験があります。

長く勤務すればするほど、色々な経験をして当然です。

そして、その経験は今の業務に必ず活かされているはずです。

クレームというより、ご意見をいただいたことがありました。

まだまだ経験の浅い新人看護師だったと思います。

寝たきりで終末期の患者さんが入院されていました。

その患者さんの清拭後にご家族からこんなご意見をいただきました。

『寝間着の合わせが逆になっています』

その患者さんは浴衣を着ていました。

あんなにいつも気を付けているのにまさか!

慌てて訪室すると、浴衣の合わせが『ひだりまえ』になっていたのです。

『ひだりまえ』は着物でいうところの亡くなっている状態をあらわします。

最近、浴衣を着ていらっしゃる方は随分減ったのではないかと思いますが、2000年頃はまだまだ自前の浴衣で過ごす患者さんは多かったと感じています。病院のレンタル病衣なら、ひもがついていますから、こんな間違いはないでしょう。

もちろん、『ひだりまえ』がそのようにあらわすことを知っていましたし、合わせを間違えないように気を付けていたつもりでした。ですがこのときはなぜか『ひだりまえ』になってしまったのです。

サーっと血の気が引きました・・・

すぐに合わせをなおし、患者さんは意識がなかったけれど、なおしながらしっかり謝罪しました。もちろんご家族にも謝罪しました。もう平謝りです。

先輩看護師や師長さんにも報告しましたが、悪気がないとはいえ、これは私自身大変ショックを受けました。

いえ、私以上にショックだったのは患者さんとそのご家族だったはずです。

けれどご家族からお叱りのお言葉はなく、逆だった、ということ以上のことをいわれることはありませんでした。

本来なら罵倒されても致し方ないことをしたわけですから、むしろ追及されないことで余計に申し訳なくなりました。

この件があって私は着付けを学び、師範免許を取得。

自分自身の戒めとなっています。

主任看護師時代に経験したクレームです。

当時、私が所属していた病棟の個室へ入院されました。

社会的地位が高く、正直少し気難しい患者さんのため注意していたのですが、案の定スタッフのちょっとした態度が気に入らず、クレームとなり、怒りは収まらず主任の私がお話を伺いにいくことになりました。

最初は、スタッフの態度についてあれこれと言ってきました。

しかし、段々と世間話となり・・・すぐにはお話は終わらず、お部屋を出たのは、なんと一時間半も経っていました。

間をあけず二回目の入院であり、独身で面会もない患者さんでした。

今思い返すと、その患者さんはさみしかったのかな、話を聴いてほしかったのかなと思います。

クレームでこんなに長く対応したのは後にも先にもこの方だけですが、その後、この患者さんは希望して看護部長まで話をすることになりました。その時、私がきちんと話を聴いてくれた、と話していたそうです。

その後は特に拗れてしまうこともなく、普通に外来を受診され、お元気になられました。

もちろん、看護部長が上手に患者さんとお話ししてくれた結果です。

長時間きちんと聴くのは非常に大変ですが、この時は話を聴くということができて良かったと思っています。

病院、施設におけるクレーム対応、カスハラ対応についてまとめてみました。

勤務している施設のクレーム対応マニュアルはどうなっているのか、定期的に確認し、スタッフで共有していくこと、クレームが発生したら、迅速に対応し、スタッフ間でフィードバックをし改善をしていくことです。

繰り返しになりますが、クレーム時に、スタッフとの円滑な関係は大切です。

クレーム対応で困った時、苦手なスタッフに助けられることがあります。

スタッフと必要以上に仲良くする必要はありませんが、いざという時に困らない程度の関係を築いておくことが大切です。

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