弱点はあるのです。
こんにちは。看護師ぶきようさんのかげどんです。
看護師時代の想い出をお伝えしております。
今回はとあるベテラン医師の事についてです。
完全無欠の副院長
副院長はベテラン医師です。腕もよく、面倒見もよく、同じ科の医師からだけでなく、他科の医師からもよく相談されていましたね。地域のクリニックの医師や近隣の大学病院の医師とも顔が広く、病院の広報的な役割も担っていました。
医師だけではなく、薬剤師、私たち看護師や事務、臨床検査技師、放射線技師といったコメディカルの人たちとも気さくに話す副院長でした。
○○がいないと…
そんなある日、副院長の外来に長く通院している高齢男性Oさんがやってきました。
その方は80代後半。10年ほど前に奥様を亡くされています。
息子さんは諸島で暮らしているので、ご近所の親切な方々に助けてもらいながらおひとりで生活していました。
とにかく元気でいつも笑顔。
かげどん「Oさん今日もお元気ですね~」話しかけるとまず、
Oさん「アハッ、なんとかやってますよ~」
最初に必ず小さな笑い声とともに素敵な笑顔を向けてくださる。失礼を承知で言うととてもかわいいのです。だから色々な方が助けてくれるのでしょう。お歳をかさねたらやはり素直でかわいい方がいい。私もそういう風になりたいものです。
その方の診察を終えて…
かげどん「お元気な方ですね~」
副院長「そうだなあ…オレには無理だ…嫁がいなかったら生きていけない…しかも10年なんて…」
ぽつりと独り言の様に呟いたのです。
かげどん「…え!?」
そんな事言うとは…
副院長は私たち看護師に厳しい部分もありました。
かげどんは負けず嫌いな性格ゆえ、悔しい…と思う事たびたび。40半ばを過ぎた今ならもう少し冷静に振り返られるんですけれど。あの当時は必死でした。ああ若かったんだなあ。
だから、何かの時に切り札に…と腹黒かげどんは思ったのですが、結局不器用な私にはそんな事はできませんでしたね(笑)
そんな事はしない方がよいのです。
あの副院長の人間性を垣間見た気がしました。
実際、副院長は厳しい部分もありつつ、私たち看護師に時々弱音を言ってみたり、強く言った後はフォローもしていましたから。
もしかしたらOさんも…
いつもにこにこな人当たりの良いOさんも時には寂しかったり、人に当たりたくなったりするのではないでしょうか。
私たちの前で見せないだけで。
そのほうが人間らしくていい。みんな完璧になんてなれないのですから。
さて、そのOさん。数年後に腸閉塞になり入院。退院後はさすがに独り暮らしは厳しくなり、息子さんのいる島へ同居する事になりました。もう会えないのは寂しいのですが、息子さんとあったかいところで幸せに暮らしているならなによりです。
まとめ
何でもやりこなす医師でも、弱い部分があるんですねえ。
完全無欠の副院長も人間だったという事でしょう。
では、またどこかで~。